共依存とセルフ・コンパッション

この記事では、共依存についてと、その回復にセルフ・コンパッションが有効なことを解説していきます。

共依存とは、他者の感情や問題を自分の責任と感じてしまい、自己犠牲的になってしまう状態を指します。共依存の人は自分に対して非常に厳しく、常に他者を優先する傾向があります。

セルフコンパッションは、「自分自身に対する思いやり」のことであり、自分の苦しみに優しく寄り添う姿勢です。

共依存とは?

以下のような特徴がある場合、共依存の傾向があるかもしれません。

1.自己犠牲的になりすぎる

•他人の問題を解決しようとして、自分の時間、エネルギー、感情を消耗してしまう。

•「私がいなきゃダメなんだ」と思い込んでしまう。

2.相手にコントロールされる

•相手の感情や行動に左右されて、自分の気持ちや選択を押し殺してしまう。

•「嫌われたくない」「見捨てられたくない」と思い、自分の意見を言えない。

3.境界線(バウンダリー)が曖昧

•他人の問題と自分の問題の区別がつかず、相手の感情や行動に過剰に巻き込まれる。

•相手の期待に応えないと価値がないと感じる。

4.相手を変えようとする

•「この人を助けなきゃ」と思い込み、相手を変えようと努力しすぎる。

•でも、結局相手は変わらず、自分だけが疲弊する。

5.自己価値が低くなる •自分の価値を、他人が自分をどう扱うかで決めてしまう。

•「愛されるには何かしなきゃいけない」と思い込んでいる。

共依存についての主な論争

・共依存に関する論争 共依存という概念は科学的に証明されておらず、DSM(精神疾患の診断マニュアル)にも採用されていない。

•「共依存」は、愛情や思いやりといった健康的な人間の行動を病理化してしまう可能性がある。

•人間には本能的に他者とのつながりを維持しようとする性質があり、それを問題視するのは不自然。

•共依存やイネイブリングの概念は、相手が自分の行動に責任を持つべきであるという視点を無視してしまう

こういった論争はありますが、私個人としては依存症臨床の現場において、人間関係の理解に有用な考え方だと感じています。

共依存からの回復で大切な4つのこと

  1. 境界線(バウンダリー)を確立する

2. 自分の健康と幸福に責任を持つ

3. 自分自身を深く知る

4. 自分を愛することを学ぶ

特に、この4番めの、自分を愛することについてみていきます。

共依存の根本には、無価値感、不安、自分は愛されないという思い込み があります。 他人を喜ばせることに必死になり、拒絶や不足感への恐れ から、不満足な関係の中で傷つきながらも耐えてしまうことがあります。 でも、本当の自分を勇気を持って受け入れ、愛することが回復の鍵 です

自分を愛することの実践方法

✅ セルフコンパッション を持ち、完璧でなくてもいいと受け入れる

✅ 自分を責めるのではなく、優しい言葉をかける

✅ 睡眠・食事・運動など、体のケアを大切にする

✅ バウンダリーを設定し、気持ちを尊重する

✅ 楽しむ時間や、信頼できる人とのつながりを大事にする 最初は違和感があっても、小さなセルフケアの積み重ねが「自分を愛する力」になっていきます

共依存に苦しんでいる人は、自分の気持ちや欲求を犠牲にして相手を優先し、自己肯定感が低下したり、自分自身が見えなくなったりします。そのため、まず自分自身に対して優しさや思いやりを持つこと(セルフコンパッション)が回復への大きな鍵になります。

なぜセルフコンパッションなのか?

セルフコンパッション(自己への思いやり)は、自分を批判したり責めたりする代わりに、ありのままの自分を受け入れ、励ますことです。セルフコンパッションを高めることで、自分自身への信頼感が育ち、自分を傷つける関係やパターンから徐々に離れることができるようになります。

セルフコンパッションを実践する方法

具体的にできることを紹介します。

  1. 「完璧ではなくていい」と自分に許可を出す
    完璧を目指すのではなく、不完全な自分もOKだと認めることで、気持ちが軽くなります。
  2. 自分を責める言葉をやめ、自分に優しい言葉をかける
    「よく頑張ってる」「無理しなくていいよ」と、自分に穏やかに語りかける習慣を作ります。
  3. 小さなセルフケアの習慣を持つ
    心地よい睡眠、バランスの良い食事、軽い運動など、自分の体と心を大切に扱うことを日常に取り入れます。
  4. バウンダリー(境界線)を設定する
    自分が何を感じ、何が嫌なのかをはっきりさせ、「NO」を言う勇気を育てます。
  5. 心から楽しめる時間を意識的に作る
    信頼できる友人との会話や、自分が夢中になれる趣味を持つことで、自分の価値を再発見できます。

小さな実践から大きな回復へ

最初は慣れないため違和感や抵抗を感じるかもしれません。それは自然なことです。焦らず、毎日少しずつセルフコンパッションを実践していきましょう。積み重ねていくうちに、自分を本当の意味で大切に思えるようになり、共依存から回復して、自分らしく自由な生き方へと近づいていきます。

自分を愛することは、いつからでも、何度でも始められます。
セルフコンパッションという優しい視点を取り入れ、あなたの回復を始めましょう。

セルフ・コンパッションを学ぶには講座受講もおすすめ

共依存に苦しんでいる人は、自分の気持ちや欲求を犠牲にして相手を優先し、自己肯定感が低下したり、自分自身が見えなくなったりします。そのため、まず自分自身に対して優しさや思いやりを持つこと(セルフコンパッション)が回復への大きな鍵になります。

セルフコンパッションは、本や動画で学ぶこともできるけど、実践が何より大事。

実際にクラスで学ぶメリットは、

✔️ 自分一人では難しい「習慣化」ができる

✔️ 講師や仲間からのフィードバックがある

✔️ 安心して感情を分かち合える環境が整っている

【6週間講座の特徴】

・気軽にセルフコンパッションの基礎を学べる

・忙しい人でも取り組みやすい短期集中型

(ビジネスパーソンのための7週セルフコンパッションは、6週バージョン+若杉先生の特別クラス)

【8週間講座の特徴】

・じっくり時間をかけてセルフコンパッションを身につけられる

・感情や自己理解が深まり、人生において継続的な変化を促す

自分に合った講座を選んで、自分への優しさを深めていこう。

参考文献:

https://psychologytoday.com/us/basics/codependency