アディクション・依存症(嗜癖)の再発予防に大切なHALTとは?
アディクション・依存症(嗜癖)の再発予防において、HALTと呼ばれる状態への気づきを増やすことが大切です。
H:Hungry お腹が空いた
A:Angry 怒っている
L:Lonely 寂しい
T: Tired 疲れている
これらの、頭文字をとってHALTと呼ばれます。
アディクション・依存症(嗜癖)を抱えている方や、トラウマのある方は、インテロセプション(内受容感覚)とよばれる体の生理的な訴えを聞き取る能力が低いことが指摘されています。そのため、HALTに気づいて、適切な対応をすることが必要なのです。
Hungry お腹が空いた
お腹が空いている状態というのは、人間の歴史的に、かなり危機的な状態です。逃走か闘争か反応が引き出されやすい状態といえるでしょう。
お腹が空いていることいどんなところで気づくでしょうか? お腹がすーすーしてくる、グーッと鳴る、少しイライラしてくる、集中力が切れる、戦闘的になる、などがあるでしょうか。
登山では、「シャリバテ」という言葉もあります。食べていないことによるスタミナ切れの様子を指します。
怒りに任せて何か行動しがちな時、まず、自分はお腹が空いてないか?を見直してみると色々なことがうまくいく場合もあります。
Angry 怒っている
次は、怒りです。
生きていく上で、怒りの感情はつきものですが、社会で生き延びるためには、ある程度コントロールできている必要があります。
さて、怒りはどんなところで気づくでしょうか? イライラする、顔に血が昇る感じ、肩や腕に力が入る、食いしばるなどの戦闘モードのサインがいくつか体に出ているのではないでしょうか?
怒りにハイジャックされて自動操縦的に「切れる」「怒鳴る」などの行動を取る場合もあれば、怒りを抑えるためにアディクション・依存症(嗜癖)行動を取る人もいるでしょう。例えば、タバコを吸って落ち着く、一杯飲みにいく、甘いものを食べるなどです。
もし、その短期的に感情をなだめるために有効な行動が、長期的にみて害を及ぼすことが明らかとなりそれを手放したい場合は、怒りに対する、別の対処行動などが必要となります。
怒りを感じている場合、上記のHungryお腹が空いた、をまず解決することが大切でもあります。その上で、おちついた対応策を考えてみるのもおすすめです。
みなさんの、よくある怒りのパターン見直してみませんか?
Lonely 寂しい
新型コロナウイルスが流行してから、より孤立や孤独を感じることが増えています。自分では大丈夫!と思っていても、気づくと人とのリアルな交流が減り、寂しさを心の底では感じている人も増えているのではないでしょうか?
アディクション・依存症(嗜癖)は、孤立と孤独を基礎にして蔓延る病です。そのため、自助グループなど、人との温かい交流の中で回復はなされていくのです。
そして、孤独・孤立にはまた、どこで気づくでしょうか? 例えば、ここ1週間を振り返って、どんな人とどんな関わりを持ったでしょうか?人に囲まれてたとしても、本音を伴うコミュニケーションがなければ、孤立しがちです。家族がいたって、恋人がいたって、孤独・孤立は感じるものなのです。
今、あなたは、孤独を感じていますか?
関連記事
どうして依存症があると自助グループに行かないといけないの?
https://note.com/mindful_therapy/n/n1948fcc7f031
Tired 疲れている
疲れもまた、アディクション・依存症(嗜癖)と深い関わりがあります。多くのアディクトは、疲労に気づかず無理をしてしまう傾向があります。
疲労していること、休みが必要なことに、どんなところで気づくでしょうか?
例えば、頭痛・肩こりがする。最近、ちょっとしたことでイライラしがちである。スケジュールに追い立てられる感じがする。体のあちこちが痛い。いつも眠い。
こんなサインはあったりしませんか?
疲れを感じたら、休むことが必要ですが、現代社会の促迫的なニーズに応えようとすると、なかなか休むのも難しいものです。時には、スマホ、SNS、メールのチェックなどをオフにして、自分だけの休息時間も必要です。
自分に必要なセルフケアをしていきましょう
ということで、HALTに気づき、必要なセルフケア、食べる、休む、人と話す、運動するなどを意識的に行うことで、アディクション・依存症(嗜癖)の再発を遠ざけることができます。
MBRP(やめられない!を手放すマインドフルネスプログラム)では、8週をかけて、自分の体のサインや、心の傾向に気づきを向けていき、本当に必要な根本的なニーズに気づいていきます。その中で、この記事でご紹介したHALTも大切なテーマとなります。一人で、やめられない!アディクション・依存症(嗜癖)に向き合うのは大変なので、一緒に取り組んでみませんか?
下記の講座で、アディクションの代替行動としてのマインドフルネスを学んで見ませんか?
小林亜希子・小林桜児著 『やめられない!を手放すマインドフルネス・ノート』 日本評論社