マインドフルネスストレス低減法(MBSR)は、抗うつ薬(レクサプロ)と同等に不安へ効果がある

最新の研究で、マインドフルネスは不安障害の治療によく使われる抗うつ薬(レクサプロ)と同等の効果

マインドフルネスストレス低減法は、不安の治療において標準的な抗うつ剤エスシタロプラム(日本名はレクサプロ)と同等の効果があり、副作用も少ないことが明らかになった。米ジョージタウン大学が実施した臨床試験で示された。

不安障害を抱えている人は、世界全体で推定3億7400万人にのぼる。生死にかかわるような脅威でないにもかかわらず、神経系が脅威を感知すると、慢性的な恐怖とストレスという難しいパターンに陥ってしまう。

不安障害への治療は、薬物療法や心理療法など、多くの治療法が存在する。薬物療法は、簡単に利用でき、多くの人に有効であることが証明されているが、辛い副作用を伴うことも多い。

ジョージタウン大学医学部の准教授で不安障害研究プログラムのディレクターであるエリザベス・ホーグ博士は、20年にわたり不安障害を持つ人々を治療してきた。彼女は、多くの異なる種類の薬物療法、心理療法、およびその両方を組み合わせて患者に処方した経験がある。

この臨床試験には276人が参加し、MBSRに取り組むグループと、抗うつ剤エスシタロプラム(日本名はレクサプロ)を服用するグループの2つに分けられた。試験期間は8週間で、参加者は、登録時と試験終了時に不安症状について記録した。試験開始日から12週目と24週目にも、フォローアップの評価が実施された。

参加者は、8週間の週1回のMBSRコース、または10~20mgのフレキシブルな投与量の抗うつ剤エスシタロプラム(日本名はレクサプロ)1対1で無作為に割り付けられた。MBSR群では、患者は毎週2.5時間のクラス、毎日45分の自宅での瞑想の実践、そして週末に1日のリトリートに参加した。 

結果、不安障害の治療において、標準化されたエビデンスに基づくマインドフルネスに基づく介入と薬物療法を比較したこの無作為化臨床試験の結果から、MBSRは抗うつ剤エスシタロプラム(日本名はレクサプロ)に対して非劣性であることが判明した。(同等である)

マインドフルネスストレス低減法(MBSR)の可能性

Mindfulでの記事によると、エリザベス・ホーグ博士は、キャリアの初期にマインドフルネス瞑想について学んだとき、「人は自分の思考と異なる関係を持つことができるという考え方は、不安を抱える患者さんにとって役立つ可能性があるように思えた」という。

予想通り、この試験で、マインドフルネスは薬より悪くなく、両グループとも症状が改善されたことが明らかになった。しかし、抗うつ薬の副作用の方が厄介だったという。(全米精神疾患連合によると、エスシタロプラム(日本名はレクサプロ)の一般的な副作用は、頭痛、吐き気、下痢、不眠症などである)。エスシタロプラム(日本名はレクサプロ)群の78.6%に少なくとも1つの有害事象が見られたのに対し、MBSR群の参加者では15.4%であった。

エリザベス・ホーグ博士は、驚いたことの1つは、両群の脱落率だったという。「私は長年にわたって、患者から薬物療法について多くの不満を聞いていました。薬の副作用があったために彼らは、ドロップアウトしたのです。しかし、実はMBSRからも同じくらい脱落者が出ていたのです。」

MBSRグループのドロップアウトの主な理由は、スケジュールと時間の制約だった。MBSRには、週8回のクラス、毎日の瞑想の練習、週末のリトリートが含まれていますが、シフト制の仕事をしていたり、家族や介護の責任を負っていたりする人にとっては、これをこなすのは大変なのだと推察される。

このため、マインドフルネスをベースとしたアプリなど、より集中的でない練習でも同じ結果が得られるのではないかという疑問が生じるのだが、エリザベス・ホーグ博士は、現在のところ、不安を治療するためのアプリをサポートするデータはないと述べている。

「瞑想トレーニング中に起こることは、すべて科学的に測定することはでないし、おそらく重要で私たちが(まだ)理解していない側面がある」と彼女は言う。例えば、参加者を指導するための訓練を受けた講師の有無や、参加者同士の交流などが、瞑想の練習を続ける動機付けになる可能性がある。

(博士へのインタビューは、mindful記事の翻訳による)

まとめ

以上、2022年11月にJAMA Psychiatryに掲載されたエリザベス・ホーグ博士の論文と、Mindful.orgの記事での彼女へのインタービューから記事を作成した。

筆者の感想となるが、結局のところ、瞑想も、アプリなどで単独で実践することでは同等の結果は得られず、瞑想トレーニングを受けた指導者による安全な場で、参加者同士交流したり、わかちあいをすることで気づきが高まり、癒しが促進され、不安も軽減されるのだという印象をもった。MBSRは、ストレスや不安との関係性そのものをじっくり時間をかけて変えていくので、根本的な効果がもたらせると感じている。

当センターでも2023年4月よりオンラインzoomを用いて、集団でのマインドフルネス・ストレス低減法を開催予定である。

注意:抗うつ薬を含む、薬を飲む・止めるの判断は、精神科の主治医の先生に相談してください。

引用・参考資料

https://jamanetwork.com/journals/jamapsychiatry/article-abstract/2798510

https://news.yahoo.co.jp/articles/4aa85ff5b0f375476914c81c15f286ba21d092bd

Recent Study Reveals Mindfulness is Comparable to Popular Drug for Treating Anxiety

by Mindful MYSTY PRATT JANUARY 24, 2023

マインドフルネスストレス低減法講師養成講座受講を終えて(note)

https://note.com/mindful_therapy/n/n3a8b0348249e