マインドフル・セルフ・コンパッション(MSC)8週参加者の声:IT企業勤務40代男性 

Tさんは、2023年秋にMSC8週講座を受講されました。3ヶ月後にインタビューに応じてくださり、内容をシェアしてもよいと許可をいただいたので、TさんのMSCがどうお仕事や人生活かされているのか?について語っていただきました。

【お仕事はどんなことをされていますか?】

40代、ITスタートアップ系でHRを担当。人事制度設計、ビジョンや行動指針の作成・浸透や採用などが仕事。事業部の組織開発・制度設計の責任者。

【ビジネスにおいてMSCの実践がどのように役立っていると感じていますか?】

(1)アウトプットのスピードが上がった 

不安や恐怖心などの感情が、思考に影響を及ぼす作用がはっきりし、その感覚が和らぎ、コントロールできるようになった。

ここでのポイントは、躊躇するシーンが減ったということで、躊躇の理由が自己認識できていなかったところから、自身の感情に対しての解像度が上がって、かつ、それに対処する技術の習得に至ったので、自分が躊躇している事に気づき、対応出来るようになった。

(2)スージングタッチ(体に触れて自分をなだめるエクササイズ)が効果的

スージングタッチが、如実に効果がある。 決めたことを社内で発信する際に、防衛的に批判・反論がこないよう完璧をねらってしまっていたが、傷つきに対してスージングタッチがあると考えると楽にできるようになった。そこで、感情は身体反応であり、休憩することや、胸に手を当てることで落ち着くことができるようになった。回復できるなと感じるように。辛さがあっても、アタッチメントで和らげられる感じ。仕事って、結局自分にとっては、孤独な戦いで、最後矢面に立つのは自分一人と思っている節がある。その孤独とどう向き合うかの一つの解決策となった。  

自分は一人ではないという感覚が、一定の批判を受け止めながら、自分が正しいと思っている(事業にとって価値があると思っている)ことを推進する胆力に繋がっている。

そういえば、最近「責任は僕が取るので・・・」 「絶対に上手くいくので安心してくれ」といった発言が増えたような・・・ 

【MSCを受講する前にどんな実践をされていましたか?】 

(1)瞑想歴

2015年頃より瞑想を10分程度していた。瞑想をすることで、集中力が1.3倍から1.5倍ほど上がるなと感じていた。2023年にMBSRを受講することで、集中系の瞑想から、観察したり、苦手なボディスキャンをすることもできるようになった。瞑想をすることで、自己認識の解像度があがる。体感することで、気づく、身体的反応、感情、思考と統合して考えられるようになった。感情は身体的反応であるとの気づきもあった。

集中力が上がっていることを体感したのは、読書のスピードが上がったり、集中して読める時間の長さが上がった時でした。MBSRの受講中は、特に会議中など、今自分が焦っているとか、怖がっているという、それまで自己認識できなかったレベルの感情の揺れが自己認識できるようになった感じです。

(2)勉強していたテーマなど

IFS内的家族療法の考え方を勉強し、しっくりきていた。MSCの本や、成人発達理論、コーチング、EI(感情知性)などを勉強していた。特にEIについて、能力を発揮できるかどうかは、感情・心次第という考え方を取り入れていた。周囲から見ると、内面との向き合いを含めて、異様にストイックに自分のパフォーマンスを高める工夫をしているタイプらしい。

 例えば、アウトプットに対して、反論がくると脅威に感じていたのが、人前でも一人で考えてる時と同じような判断力・思考力を維持したいと感じ、感情のコントロールができるようになった。 2020年代より、感情がパフォーマンスに影響していることに気づいた。それに気づいた背景として、オーセンティック・リーダーシップについての学びがあり、自分の周囲の尊敬できる上司に、そういうタイプが多かった。

【管理職の仕事において、MSCの実践がどのように役立っていますか?】

クリスティン・ネフの「セルフ・コンパッション」の本を読んでから、自分に厳しく、人に優しくするのは、難しいな、まずは自分に優しくしないと・・という理解で、MSCに参加しようと思った。

そもそも、なぜ人に優しくしたかったかというと、マネージャーとしてマネジメントスタイルを使い分けることで、もっとチームをよくできると思っていたのですが、やはりどうしても厳しさが前に出てしまうため、メンバーのポテンシャルを最大化できていない気がする・・・という現状に対しての問題意識です。

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(1)感情の解像度があがり、自他に情動調律できるようになった

MSC8週間を受講後、自分の感情への解像度があがり、それと共に、周囲への感情の解像度もあがった。情動調律が自他にできるようになっている。プログラムに参加してから、落ち着いてる。サンリオのハンギョドンと一緒に寝るようになった(笑)そんなことで、こんなに変化がでるのかとびっくりしている。安心感が前とまったく、違う。元から孤高なタイプで、人を頼りにせず、自分でやるタイプ。チームで仕事することは得意ではなかった。 

ハンギョドンネタで言うと、孤高さは自身のアイデンティティになっていて、完璧であり続けなければ、自身には価値がないという感覚があったところに、完璧じゃなくても自分には一緒にいてくれる人がいる(人ではないが・・・)という感覚になったのは、かなり大きいです。

(2)寛容さが上がった 

どこかで、うまくいかないことに対して 相手に原因があると防衛的に考える傾向があったが、自分側にも問題があるかも・・・と認め、たとえ自分側に非があったとしても、孤独によくないことだと考えることはなくなった。ぬいぐるみや、自分の中にいる絶対的に優しい部分(猫のイメージ)があるので、一人ではないと考えられるようになった。他者に認められないと、自分の安心が得られないということが不可能なのだと理解し、一人でいても、安心できる、安心感を内包できるようになった。

寛容さが上がったのは(1)の影響もあり、他人のせいにする必要がなくなったのだと思います。自分が完璧である必要がなくなったので、他人を責める必要がなくなりました。

【MSCの実践のデメリットは感じたことがありますか?】

 MSCのデメリットはあまり思い浮かばない。一般的なMSCの副作用といわれるバックドラフト(怒りや、トラウマの再燃)は、そんなになかった。もとから、自己批判はあなりないタイプ。トラウマは特にないが、原家族との関係は希薄であったが、昔受けた自己啓発系のワークで、そのあたりは乗り越えていた。 

デメリットではないのですが、今思い出したのは、ぼくは怒りとか、孤独とか、ネガティブな感覚こそが自身のモチベーションの源泉であり、それがなくなったら、パフォーマンスが落ちると思っていました。一時的には、怒りや恐怖心によって起きていた行動が起きなくなることで、デメリットと感じる人はいると思います。

【ビジネスパーソンに対して一言】

30-40代のビジネスパーソン(男性)が、この時期に人生はじめて行き詰まることがあると感じている。メンタルの課題にぶつかり、壁を抱え続ける人が多い。覚悟をきめて仕事をする、リスクを取るといった根性論ではなく、精神的なリスクを減らす、そのためにも、カウンセリングや、セルフ・コンパッション、マインドフルネスが本当に役立つと思っているので広めて行きたいと感じている。

ちなみに、中途採用の仕事を通して、これは性別を問わず、「自分の弱さを受け入れる」事ができずに、キャリアに行き詰まってしまう35歳〜45歳のビジネスパーソンが想像以上に多く驚いており、何とかしたい気持ちがあります。平たく言うと、変われない中年問題っすね・・・

インタビューを通じて

Tさん、貴重な体験、学び、知恵をシェアしてくださってありがとうございました。聞いていて、とてもインスパイヤされ、確かにそういう面がMSCのすごいところ!と思った次第です。今後もセルフ・コンパッション道を深めていく旅路をご一緒できればと思っております。私も、うさぎのぬいぐるみを抱っこして寝るようになってから落ち着いています(笑)アタッチメントを自分自身で作ることができる、それがMSCの最大の魅力だと感じています。

マインドフルネス心理臨床センターでは、4-5月にビジネスパーソン対象の7週間MSC、5-6月にMSC8週間を予定しております。