なぜ経営者にはマインドフルネス瞑想が必要なのか?「メンタル投資」で成功へのさらなる一歩を進めるヒント

経営者として成功を収めるための道は決して平坦ではなく、以下のような悩みを抱える起業家は少なくありません。

• 不確実性への不安

• 孤独や意思決定のプレッシャー

• コラボレーションによる疲労

• ワークライフバランスの難しさ

• 気分の波

• プチ依存(スマホ、酒、ゲームなど)

• 集中困難や落ち着きの欠如

• 資金調達に関する不安・緊張

• 人間関係の課題

これらの悩みが重なると、精神的な負担が増し、経営判断やビジネスの進行に悪影響を及ぼすことがあります。また、起業家は、ADHD(注意欠陥・多動性障害)や双極性障害といった精神的な課題を特性として抱えている人も多く、それがビジネスに与える影響は無視できません。しかし、これらの特性は必ずしも悪影響をもたらすわけではなく、適切に管理することで経営者としての強みに変えることができます。この記事では、経営者がマインドフルネスを活用し、より活き活きとビジネスへ向き合うためのヒントをご紹介いたします。

ADHDや双極性障害は、起業家の成功にとって諸刃の剣

とある研究(※1)によると、起業家は一般の人々よりもうつ病、ADHD、双極性障害、物質依存といった精神疾患を多く経験することが示されています。起業家の約半数は精神疾患の既往歴があり、起業家の72%が精神疾患に直接的または間接的に影響を受けていることがわかっています。このような精神的な課題は、ビジネス上のリスクだけでなく、経営者自身の健康にも大きな影響を与えます。

一方でADHD傾向を持つ経営者は、高い創造性とエネルギーを持っています。彼らは新しいアイデアを次々と生み出し、リスクを恐れずに挑戦する姿勢が特徴です。これは、起業家として成功するための重要な要素であり、新たな市場を開拓する力となります。しかし、ADHDには集中力の持続が難しいという課題もあります。これが原因で、タスクの管理や時間の使い方に苦労し、時にはビジネスの進行を妨げることもあります。

また、双極性障害を持つ起業家は、極端な気分の浮き沈みが特徴です。ハイな時期(躁状態)には、エネルギーや自信が高まり、新しいビジネスアイデアへの意欲が増します。これにより、革新的なプロジェクトが次々と立ち上がることが可能です。しかし、低い時期(鬱状態)には、無気力感や集中力の欠如が現れ、業務に支障をきたすことがあります。特定の時期に非常に高い業績を上げることができる一方で、適切なケアが行われないと、ビジネスの持続性に悪影響を与える可能性があるため、双極性障害の管理がビジネス成功の鍵となるのです。

また、一部の起業家は「起業アディクション」と呼ばれる新たな事業を次々と立ち上げずにはいられない強迫観念に駆られることがあります。これがギャンブルや物質依存に似た形で強迫的な行動につながることがあるのです。物質使用障害(SUD)は、起業家の中でも特に指摘されており、ストレスを和らげるために物質に依存するケースも少なくありません。

こうした依存行動は一時的な逃避手段であり、根本的な問題に取り組むことを避ける原因となります。このような状況では、精神的なバランスを取り戻すための対策が必要です。

「メンタル投資」としてのマインドフルネス

気分の波、依存、ADHDなどの特性は、起業家の「創造性」などの良い部分などと関わっており(※2)上手にマネージさえすれば、起業家に役立つ傾向です。

このようなメンタルヘルスの課題をマネージするために、経営者にとっては「メンタル投資」(※3

)が重要です。メンタル投資とは、自分の心を理解し、心や身体をケアするスキルを身につけるために時間やお金を使うことです。マインドフルネスは、このメンタル投資の中で重要な役割を果たします。マインドフルネス瞑想を習慣化することで、ADHDの衝動性や集中力の欠如、双極性障害による気分の波を和らげることができます。また、感情の制御や意思決定、身体管理・衝動コントロールの改善にもつながり、結果として生活習慣病の予防やビジネスのパフォーマンス向上に寄与します。

隙間時間に取り入れられる、マインドフルネス瞑想の実践方法

マインドフルネスを日常に取り入れるために、以下の具体的なステップを試してみてください。

1. 朝のルーチンに瞑想を取り入れる

毎朝、5分から10分程度の呼吸瞑想を行い、心を落ち着かせましょう。この習慣が集中力や注意力の向上につながります。

2. 深呼吸の実践

ストレスを感じたときには、意識的に深呼吸を行うことで、心拍数を安定させ、リラックスした状態を保ちましょう。

3. 歩行瞑想

通勤時や散歩の際に、足の動きや呼吸に意識を向けることで、心をリフレッシュし、エネルギーをリセットできます。

4. マインドフルな食事

食事の際には、味や食感に集中することで、食事を楽しむと同時に心を整えることができます。

マインドフルネスで経営者としての強みを最大化する

現代のビジネス環境において、経営者が成功を収めるためには、メンタルヘルスの管理が不可欠です。ADHDや双極性障害を持つ経営者でも、適切なマインドフルネスの実践によって、それらの特性をビジネスの強みに変えることができます。マインドフルネスは、ストレス管理や集中力の向上、創造性の活性化、人間関係の改善など、さまざまな面で経営者をサポートします。

今こそ、あなたのビジネスと人生を次のレベルへと引き上げるために、マインドフルネスを取り入れてみませんか?マインドフルネスは、経営者としての力を最大限に引き出し、成功へと導く最強のツールです。

マインドフルネス心理臨床センター(CMAP:シーマップ)では、経営者向けのマインドフルネス瞑想個別指導プログラムや、会員制の経営者向けマインドフルネス瞑想会などを実施しております。ご興味をお持ちの方は、当センターWebサイトよりお気軽にお問い合わせください。

経営者マインドフルネス会9月

(※1)Freeman, M. A., Staudenmaier, P. J., Zisser, M. R., & Andresen, L. A. (2019). The prevalence and co-occurrence of psychiatric conditions among entrepreneurs and their families. Small Business Economics, 53(2), 323-342. doi:10.1007/s11187-018-0059-8

(※2)Andreasen 1987, 2008, Healey and Rucklidge 2006, 2008; Ludwig 1992; Post 1994, 1996

(※3)https://note.com/ogawaal/n/nf90dd804b8a8

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本記事は2024年5月に小林が登壇させていただいたイベント「社会起業家のメンタル投資、自己変革を促すマインドフルネス〜ADHD的傾向、気分の波、プチ依存とうまく付き合う〜」での講演内容を参考に作成いたしました。

https://socialcoaching-mindfulness01.peatix.com/view

文責:臼井菜々子