看護師にセルフ・コンパッションが必要な3つの理由

「看護師が自分をいたわる理由—セルフ・コンパッションで心を守ろう」

看護師として働くことは、多くの人々にとってやりがいのある仕事ですが、その反面、非常にストレスフルで精神的な負担が大きい職業でもあります。セルフ・コンパッションは、自分に対して優しく、思いやりを持つ心の習慣であり、看護師がより健全に穏やかに仕事を続けるために重要です。ここでは、セルフ・コンパッションが看護師にとって特に必要な3つの理由を紹介します。

1. バーンアウト(燃え尽き症候群)の予防

看護師は、患者のケアに全力を注ぐあまり、自分自身の健康や感情を後回しにしがちです。自分よりも他者を助けることを優先しがちな傾向も垣間みることもあります。

その結果、慢性的なストレスや疲労からバーンアウトを引き起こすことがあります。セルフ・コンパッションは、自己批判を減らし、心身を癒すための時間を持つことを助けるため、バーンアウトの予防に効果的です。

バーンアウトの症状チェックリスト:

・仕事に対する意欲が低下していますか? 
・常にストレスを感じ、休む暇がないと感じていますか? 
・自分自身がせっかちになったり、短気になったりしていると感じますか? 
・生産性が低下していると感じますか? 
・集中するのが難しいと感じますか? 
・絶望的または圧倒されていると感じますか? 
・仕事のストレスが私生活にまで影響を及ぼしていますか? ただ放っておいて欲しいと感じますか? 
・ストレスを紛らわすために、食べ物やアルコール、薬物に頼るようになっていませんか? 
・仕事が睡眠や性生活に影響を与えていますか? 
・仕事に対して不安や落ち込みを感じていますか? 
・頭痛や胃の不調など、身体的な問題を抱えていますか? 

これらの質問のうち4つまたは5つに「はい」と答えた場合、サポートが必要な可能性があります。

Neff, Kristin; Germer, Christopher. Mindful Self-Compassion for Burnout: Tools to Help You Heal and Recharge When You’re Wrung Out by Stress (English Edition) (pp.7-8). Guilford Publications. Kindle版.

2. 感情労働のケア

看護師は、ミスが許されない過酷な現場で、患者やその家族との感情的に近い、頻繁なやりとりが日常的に発生します。時に無理な要求を出される時など、感情的な負担が大きくなることがあります。セルフ・コンパッションを持つことで、感情的な苦しみに対して「自分も休むことが必要な、尊重されるべき存在である」と受け入れ、自分を責めずに感情をケアする力がつきます。

3. 自己回復力の向上

看護師は、患者にとって頼りになる存在ですが、自分自身のケアも重要です。セルフ・コンパッションは、失敗や困難に直面したときに自分を励まし、前向きに再挑戦するための回復力を高めます。これは、ミスを恐れることなく成長する力を育てる助けになります。

そして何より、人のケアをするには、自分のケアから・・・ということで、酸素マスクの例が挙げられます。まず、自分のニーズを満たしてあげていないと、1の燃え尽きにつながりやすいのです。

研究の紹介

Journal of Clinical Psychology誌に掲載された研究において、Neff&Knox(2020)はSCHCプログラム(医療者向けのセルフコンパッション6週間プログラム)に大きな効果があることを明らかにした:

減少した項目: うつ病、ストレス、二次的心的外傷ストレス、バーンアウトなどの減少

増加した項目: 医療従事者のセルフ・コンパッション、マインドフルネス、他者への思いやり、仕事への満足度の増加

他のセルフケア技法(仕事中は用いることができない)とは対照的に、セルフ・コンパッションの実践は、患者や同僚との仕事中にその場で使うことができることが特徴的である。  

最後に

セルフ・コンパッションを日常的に取り入れることで、看護師は自分自身を労わり、持続可能なキャリアを築くことができます。患者のためにも、まず自分をケアすることを忘れないでください。

当センターでは、医療関係者を対象としたセルフ・コンパッションのプログラムを年内に開催予定です。ご興味ある方はpeatixをフォローいただけると最新の情報が入ります。

https://peatix.com/group/7216555