見捨てられ不安で“NO”が言えないあなたへ──人に尽くしすぎて疲れた心を癒す3つのやさしいワーク

恋愛や家族関係、仕事でも「NO」と言えない。断ったら嫌われるんじゃないか、見捨てられるんじゃないか。つい相手の気持ちを優先して、自分の本音を押し殺してしまう。そんなふうに、人に尽くしすぎて疲れてしまうことはありませんか?実はこれ、心理学では「共依存」と呼ばれる状態のひとつです。
共依存について詳しく知りたい方は、まずはこちらの記事を読んでみてください。
本コラムでは共依存の特徴である「見捨てられ不安」や「自己価値の低さ」と優しく向き合うための、3つのワークをご紹介します。どれもとても簡単にできて、常に心にある辛さや苦しさがふっと軽くなったと感じられるものばかりです。ぜひ、今のあなたのペースで、できるものから試してみてください。
1. 「本当はどうしたい?」心の奥にある“ニーズ”を10個書き出すワーク
人に尽くすことが習慣になっていると、「自分が何を求めているか」「何を大切にしたいか」がわからなくなってしまいます。このワークでは、今の自分が求めているもの=ニーズを、10個自由に書き出してみましょう。ルールはありません。「ゆっくり休みたい」「安心して頼れる人がほしい」「ひとりで過ごす時間がほしい」など、どんなことでもOKです。
ポイントは、「〜すべき」「〜しなきゃ」ではなく、「〜したい」「〜ほしい」と書くこと。
誰かの期待ではなく、自分自身の本音に触れることが、このワークの目的です。
書いたあと、眺めてみて「私はこんなにたくさんの思いを持っていたんだ」と気づけたら、それだけでも大きな一歩です。
2. 「まるで親友に言うように」やさしい言葉を自分にかけてみる
つらいとき、失敗したとき、あなたは自分にどんな言葉をかけていますか?「なんでこんなこともできないの」「また迷惑をかけてしまった」そんなふうに、厳しい言葉で自分を責めてはいないでしょうか。このワークでは、同じ状況にある親友が目の前にいたとしたら、どんな言葉をかけるかを想像します。そして、そのやさしい言葉を、今度は自分自身に向けてみてください。たとえば「よくがんばったね」「無理してたんだね、つらかったよね」「失敗しても、あなたの価値は変わらないよ」最初はうまく言えなくても構いません。繰り返すうちに、自分に対するまなざしが少しずつやわらかくなっていくのを感じられるはずです。
3. セルフ・コンパッション・ブレイク(つらい瞬間に、自分を支える3つのフレーズ)
このワークは、アメリカの心理学者クリスティン・ネフ博士が提唱している、セルフ・コンパッションの基本的な実践方法です。
何かつらいことが起きたとき、3つの短いフレーズを自分に向けて唱えるだけで、心が少し落ち着くのを感じられます。
ステップはとてもシンプルです。
1. これはつらい瞬間だ
(今、自分は苦しんでいることに気づく)
2. 苦しみは人生の一部だ
(自分だけがこんな思いをしているわけじゃない)
3. 私はこの気持ちにやさしく寄り添う
(痛みを否定せず、やさしく受け止める)
手を胸に当てたり、深呼吸をしながらゆっくり唱えると、さらに効果的です。
このシンプルな習慣が、自分にとっての「安心の土台」になっていきます。
あなた自身に、やさしさを向けることから始めよう
「NO」を言うこと、疲れたときに休むこと、頼ること。それは決してワガママではありません。あなたがあなた自身の味方でいられるようになることが、関係性の中でバランスを取り戻す第一歩です。
今回ご紹介したワークは、「セルフ・コンパッション(自分にやさしくする力)」の考え方を取り入れたものです。セルフ・コンパッションは、共依存のように自分を犠牲にしてしまいやすい状態に対して、自己理解と自己受容を育む有効なアプローチとして、研究でも注目されています。実際、セルフ・コンパッションが高い人は、他人に振り回されにくく、健全な人間関係を築けるという報告もあります。
自分を大切にできるようになると、「人を大切にすること」とのバランスも自然に整っていくのです。もし「もっと深く学んでみたい」「日常の中で実践できるようになりたい」と感じたら、私たちが提供するセルフ・コンパッション講座もぜひご覧ください。
自分にやさしくする力は、誰にでも育てることができます。あなたが、あなた自身を大切にする方法を、学んでみませんか?
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