「マインドフルネスをしてはいけない人」はいますか?

一般的なマインドフルネス・プログラムの禁忌

マインドフルネスは、ほとんどの人にとって安全で、有効ですが、一部の人々には導入を慎重にしたほうがいいことがあります。以下はマインドフルネス瞑想をしないほうがいい場合や、慎重に行う必要のある人々です。

精神疾患:

重篤な希死念慮、自傷行為、重篤なうつ状態、精神病的な幻覚・妄想、進行形の重篤な依存症(離脱症状を伴う場合)などの精神疾患を抱える人は、マインドフルネスを実践しないほうがいいとされています。

・過去のトラウマ:

PTSD(心的外傷後ストレス障害)や過去のトラウマを抱える人は、マインドフルネス瞑想中に強烈な感情や記憶が蘇る可能性があります。特に、解離を伴うトラウマ症状のある方は、8週間のマインドフルネスプログラムの禁忌とされています。精神科医やカウンセラーの指導のもとで練習を始めることをお勧めします。

・躁うつ病:

躁うつ病の症状がある人は、マインドフルネス瞑想が症状を悪化させる可能性があるため、精神科医やカウンセラーと相談してから練習を始めることが重要です。

・認知症など:

マインドフルネス瞑想は、自分の感情や体の感覚に注意を向けることを目的としています。認知症の方など、自分の感覚に注意を払うことが難しい場合、マインドフルネス瞑想は適切でない可能性があります。

精神疾患等による症状がある場合で、マインドフルネス導入が心配な場合は、精神科医やカウンセラーと相談し、適切なガイダンスのもとで練習を始めることが重要です。個々の状況に応じて、マインドフルネス瞑想は症状の緩和やストレスの軽減に役立つ場合があります。

注意が必要な状況でのマインドフルネスを行うアプローチ

以下に、注意が必要な状況でマインドフルネス瞑想を行う際のアプローチをいくつか示します。

・医師やカウンセラーと協力して取り組む:

既存の精神疾患や症状がある場合、マインドフルネス瞑想を始める前に専門家と相談し、適切な指導を受けることが重要です。

・短い練習から始める:

慣れない状況では、短い時間(例えば5分間)の瞑想から始めることをお勧めします。徐々に練習時間を延ばし、自分に合ったペースで進めることが重要です。

・グループでの練習:

グループでの練習は、安全で支え合える環境を提供します。他の人と一緒に瞑想することで、経験や気づきを共有し、練習を続けるモチベーションを高めることができます。

・自分の限界を理解する:

瞑想中に不快感や強烈な感情が湧いてくる場合は、無理をせず、一度練習を中断し、自分の感情や体調と向き合うことが大切です。必要に応じて、専門家の助けを求めることも重要です。何よりも自分の安全を第一に考えてください。

最後に、マインドフルネス瞑想は個々の状況やニーズに合わせて調整できる柔軟性があります。適切な指導のもとで、自分に合った方法を見つけることが大切です。自分の感情や体調に注意を払いながら、練習を進めることで、マインドフルネス瞑想が皆様の心身の健康に役立つ可能性が高まります。

また、マインドフルネス瞑想は必ずしもすべての人にとって唯一の解決策ではありません。人の心の問題は、複雑かつ、個別性が高いです。

ストレスや精神的な問題に対処するためには、他にもさまざまなアプローチがあります。例えば、カウンセリングや心理療法、運動、睡眠の質の向上などが考えられます。マインドフルネス瞑想が適切でないと感じる場合や、効果が感じられない場合は、他のアプローチを試してみることも重要です。自分に最も効果的な方法を見つけることが大切です。

マインドフルネス心理臨床センターのマインドフルネスプログラム

マインドフルネス心理臨床センターで開催している、MBSR(不安、ストレス、疼痛)、MBRP(依存症)、MBCT(うつ)、MSC(一般対象)などの8週間プログラムでは、事前に面談を行なったり、アンケートにご回答いただき、参加することがメリットになるかどうかを決めています。

マインドフルネス瞑想を実践する準備ができている方を対象に、安全な集団でのマインドフルネスを、米国等での正式な各プログラムの指導者養成講座を受講した講師によって開催しています。また、ほとんどの講師は、公認心理師・臨床心理士で、一般的な精神疾患への対応の経験があります。心配なことがある場合は、相談しながら、安全なマインドフルネスを大切に考え、提供しており、そこが当センターの最大の特徴です。 

マインドフルネス心理臨床センターで行っているプログラム