なぜ日本の職場では「マインドフルネス研修」の効果が出にくいのか?〜導入前に知っておきたい“3つの壁”と成功のヒント〜
Googleやインテルなど、世界の一流企業で導入されてきた「マインドフルネス研修」。集中力やストレス対処力、リーダーシップ開発を支援する手法として、日本の企業でも関心が高まりつつあります。
しかし、実際に日本の職場でマインドフルネスを取り入れた際に、「いまいちピンとこない」「一時的な癒しで終わった」「参加者の実践が続かない」という声を耳にすることも少なくありません。
当センターには、公認心理師・臨床心理士の専門家として、教育・医療・企業の現場でマインドフルネス研修を設計・実施してきた経験があります。その立場から、日本の職場でマインドフルネスの効果が出にくい理由と、成功のためのポイントを解説します。
【1】日本社会に根強い「根性文化」とのギャップ
マインドフルネスは、「今ここ」に気づき、自分の状態を観察する習慣づくりを目指します。一方で、日本の職場では「我慢して頑張る」「成果を出すために休まず働く」といった“根性論”が今なお根付いており、「休む」「立ち止まる」といった行為に罪悪感を持つ人も多い傾向があります。
そのため、マインドフルネスを学んでも「呼吸に意識を向けている暇なんてない」と実践に移せないケースも見られます。
【2】「自動操縦」や「受け身的態度」の文化
マインドフルネスの実践では、自分の無意識的な反応(自動操縦)に気づき、自らの選択に立ち返ることが求められます。しかし、日本の教育や職場文化では「正解に従う」「指示を待つ」ことが奨励され、自分の感情や感覚に注意を向ける習慣が少ないため、実践の中で「これで合っているのか不安」と戸惑う参加者も多くいます。
【3】「宗教っぽさ」への抵抗感
マインドフルネスは、科学的な裏付けに基づいた心理教育プログラムである一方で、「目を閉じて静かに呼吸を観察する」という行為に対して、「宗教的で違和感がある」と感じる声も聞かれます。特に企業の中では、「宗教的な印象」が研修導入のハードルになることもあります。
導入成功のための4つのポイント
日本の職場にマインドフルネスを取り入れる際は、文化的背景を踏まえたアプローチ設計が必要です。当センターでは以下の点を重視しています:
- 科学的根拠と業務メリットを明示
「集中力アップ」「生産性向上」など成果とのつながりや、実証データを示すことで、参加者の納得感を高めます。 - 「正解」より「気づき」を尊重する文化を育てる
リーダー層が実践を体験し、その意義を言葉で伝えることで、受け身の姿勢から自発的な実践への転換が促されます。 - 「呼吸瞑想」にこだわらない
五感を使ったワークや動きを取り入れるなど、日常生活に近い形で導入することで抵抗感が軽減されます。 - マインドフルネス=「選択力」のトレーニングと伝える
癒しやリラックスにとどまらず、自ら考え・選ぶ力を育む研修であると位置づけることが重要です。
専門家によるカスタマイズ可能な法人向けプログラムを提供しています
NPO法人マインドフルネス心理臨床センターでは、公認心理師・臨床心理士が監修・実施するエビデンスに基づいた法人向けマインドフルネス研修を提供しています。現場のニーズにあわせて、プログラム内容・実施形式・対象層の調整が可能です。
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