パートナーなど人間関係に不安を感じるあなたへおすすめしたい 自分の中に“安心”を育てるセルフ・コンパッション 〜マインドフル・セルフ・コンパッション(MSC)がもたらす深い癒し〜

人間関係において、「どうせ私は愛されない」「人に頼るのが怖い」と感じたことはありませんか?
実はこうした感情には、幼少期の体験が深く関係していると言われています。それが、心理学でいう「愛着(アタッチメント)」です。
愛着とは、赤ちゃんの頃に育ててくれた人(たとえばお母さんやお父さんなど)との関係の中で形成される、「人をどのくらい信頼できるか」「人とどう関わるか」という心の土台のようなものです。
子どもが泣いたときに、抱っこしてもらったり、話を聞いてもらったりして安心する体験を積み重ねると、人との関係を信じることができる「安定した愛着」が育ちます。
しかし、もしもそのような安心感が十分に得られなかった場合、「見捨てられるかもしれない」と常に不安を感じたり、逆に「人に近づくのが怖い」と距離をとったりするような、「不安定な愛着」が形づくられてしまうことがあります。
この「不安定な愛着」は、大人になってからも、恋愛、職場、友人関係などにおいて、知らず知らずのうちに影響を与え続けることがあります。
たとえば:
• 「嫌われるのでは」と不安で人に合わせすぎてしまう(不安型)
• 「どうせ人は裏切る」と親密な関係を避けてしまう(回避型)
幼少期の体験に根付いた愛着ですが、ある実践を通して改善することがわかっています。
それが マインドフル・セルフ・コンパッション(MSC) です。
MSCとは、自分のつらさに気づき、やさしく寄り添う心のトレーニング
MSCは、「自分の苦しみに気づき、それを否定せず、あたたかく見守る」ことを学ぶプログラムです。
心理学者クリスティン・ネフ博士は、セルフ・コンパッション(自分への思いやり)を以下の3つにまとめています。
1. 自分への優しさ
失敗しても、自分を責めずに、親友にかけるような優しい言葉を自分にかけること。
2. 共通の人間性
「失敗するのは自分だけじゃない」と理解し、自分を孤立させないこと。
3. マインドフルネス
つらい気持ちを無視せず、そのままに気づき、穏やかに観察すること。
MSCでは、これらのスキルを、瞑想やワークなどを通して実践的に身につけていきます。
セルフ・コンパッションで愛着が安定していく――研究が示す可能性
近年の研究では、MSCのようなセルフ・コンパッションの実践が、不安定な愛着スタイルを安定型へと近づけてくれることが明らかになってきています。
• Neff & McGehee(2010)
セルフ・コンパッションは、不安型愛着の人が感じる「自分は愛されないかもしれない」という不安をやわらげる効果があると報告。
• Peppingら(2015)
セルフ・コンパッションを高めることで、不安型・回避型の人が抱える人間関係のストレスが軽減し、より安心できるつながりを築けるようになる可能性があると示唆。
• Mackintoshら(2018)
セルフ・コンパッションの介入を受けたことで、パートナーとの関係に良い変化が見られたと報告。
こうした研究の通り、MSCの実践によって「私は大丈夫」「私は愛されていい存在だ」と感じられるようになると、人との関わり方にも少しずつ変化が生まれていきます。
実際に起きる変化:自分の中に“安心できる場所”ができる
MSCを続けていくと、心の中に「やさしい自分」「自分を受け止めてくれる存在」が育っていきます。
それはまるで、どんなときでも帰ってこられる「心の安全基地」のようなもの。
これは愛着理論の生みの親であるジョン・ボウルビィが提唱した、「Secure Base(安全基地)」という考えに通じるものです。
さらに、MSCを実践することで「心理的柔軟性」も高まり、自分の感情に振り回されにくくなります。つらい感情を避けたり抑え込むのではなく、ありのままに気づき、受け止める力が育ちます。
不安型の人は、不安に飲み込まれてパニックになりやすいですが、MSCを通して落ち着きを取り戻せるようになります。
回避型の人は、人との距離が近づくことに抵抗を感じますが、MSCを実践するうちに少しずつ心を開き、人とのつながりを感じられるようになっていきます。
こうした変化は、特別な人だけのものではありません。MSCは、誰にでも開かれた学びの場です。
はじめてのセルフ・コンパッションにおすすめの講座
働く人のための7週間(1.5時間×7回)コースは、セルフ・コンパッションの基本を学びたい方におすすめです。
より深く自分の内面と向き合い、愛着スタイルの改善を目指したい方には、8週間(3時間×8回)の本格コースをご案内しています。
安心とつながりを、自分の中から育てていく。
そんな一歩を、MSCとともに始めてみませんか?