マインドフル・セルフ・コンパッションとは何か?3つの要素
最近話題になることの多いセルフ・コンパッションとは何でしょうか?マインドフル・セルフ・コンパッションとは何か?そして、3つの要素についてこの記事では解説していきます。
マインドフル・セルフ・コンパッションとは、
「大変な状況にある友達に接するように、自分に接すること」「自分自身を敵から味方にすること」です
マインドフル・セルフ・コンパッション ワークブック 星和書店
私たちは、辛いことが起こった時、失敗してしまった時、自分自身を責める傾向があります。「あー、やっぱり私ってほんとバカ!」「また、失敗しただめ人間」とか、自分についてはついつい辛辣な声かけをしてしまいがちです。友達が困っている時は、どうでしょうか? 友達には、もう少し優しく接するのではないでしょうか?
マインドフル・セルフ・コンパッションでは、大切な友達が困っている時に対する態度で、自分が困った時にも接します。
あー、ミスしちゃったね。失敗って、することもあるよね。自分を責めちゃって辛いね。気分転換に、散歩に行こうか?
このように自分に対して、優しく、思いやりをもって接することです。概念的に理解するのは、難しくはありませんが、実践して、自分のものにするには練習が必要です。マインドフル・セルフ・コンパッションの正式トレーニングでは、週1回3時間を8週にわたり、自分に思いやりをむけるスキルを構築するためにセルフ・実践します。
次に、セルフ・コンパッションを構成する3つの要素について説明していきます。
自分への優しさ
自分への優しさvs自己批判
「大切な友達に接するような態度で自分に接してみましょう」
何かを間違えたとき、失敗したとき、私たちは自分を励ますというよ りも、自分を責める傾向が強くはないでしょうか? 他人への思いやりはあるのに、自分のこととなると厳しくしてしまうことはないでしょうか。
他人に優しくするのと同じように自分にも優しくすることを、「自分 への優しさ」と呼びます。「自分の欠点に気づいたときに厳しく批判するのではなく、サポーティブに自分を励ますことで傷つくことを防ぎます。
自分を欠陥品であると攻撃して非難するのではなく、温かく無条件に自分を受け入れるのです。自分自身を積極的になだめて(sooth)落ち着かせる(comfort)ことが大切です。
コンパッションには、痛みをなくす(消失させたい)という願いや思いが伴います。わかりやすい例えでいうと、泣いている赤ちゃんを想像してみてください。お腹がすいたのか?トイレなのか?暑いのか?怒っているのか?を確認し、赤ちゃんにとって必要なケアを与え、なだめようと試みることでしょう。それと同じように、自分自身に対してもこのような優しさをもって接するのです。
共通の人間性
共通の人間性vs孤立
「完璧な人間などいません。間違いを犯すことも、困難に直面することも人間であれば必ずあります」
人間とは不完全な存在です。しかし、私たちは完璧を目指して、頑張る側面があります。
例えば、森の中の木を見ていただければ、わかると思うのですが、まっすぐな木って、実は一本もありません。皆、特徴があり、微妙に曲がっていたり、折れていたり、ウロがあったりします。
私たち人間も同じように、不完全な存在です。不完全な存在としての人間を、あたりまえであるし、逃れることはできないのだと受け入れ、皆誰しも辛い思いを体験することもあるのだと捉えることが、共通の人間性です。
「私だけだと思っていたことが、私だけじゃなかった」そのように思い、一人孤立するのではなく、幅広い視点から「自分だけじゃなかった」と思い自分自身を許していくことが共通の人間性になります。
私たち人間は、恥を感じた時、ミスを犯したとき、「自分だけがおかしいのだ」と思う傾向があります。
マインドフルネス
マインドフルネスvs過度の一般化
「傷ついている時に、自分が傷ついているのだと知る」
自分に優しさを向けるためには、まず、自分が傷ついている時に、傷ついているのだと気づくことが大切です。まずは、自分が傷ついていることを、知る、認めることからはじめます。
例えば、誰かにきついことを言われたとき、「あー、今自分は傷ついたな」「きついことを言われたな」とまず気づく必要があります。
マインドフルネスでは、大げさにとらえることもせず、否認してしまうこともせず、ありのままを落ち着いて受け入れていきます。
「あんなことを言われた!もうおしまいだ!」とおおげさに反応しすぎることもせず、何もなかったように押し込めてしまうこともしません。ありのままの感覚を、受け入れていきます。「傷ついたな」「こんなことを言われたら落ち込むな」そういうように。
いかがでしたでしょうか?マインドフル・セルフ・コンパッションとは何か?構成する3つの要素、自分への優しさ、共通の人間性、マインドフルネスについて説明してきました。この3つの要素を意識しながら、実際のマインドフル・セルフ・コンパッションのプログラムでは、セルフ・コンパッションの練習をし、スキルを構築していきます。
マインドフルネス心理臨床センターでは、米国Center for Mindful Self-Compassionで正式な講師養成プログラムを受講した講師陣が、マインドフル・セルフ・コンパッションのプログラムを教えています。興味があれば、ぜひ無料説明会などから参加してみてください。
参考文献
マインドフル・セルフ・コンパッション ワークブック 星和書店
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臨床心理士・公認心理師・MSC講師(trained teacher)・MBRP講師(MBRP:アディクションのためのマインドフルネス再発予防)アディクションへの支援とマインドフルネスが専門。趣味:カメラCanon6DmarkII、ガーデニング、SUP、キャンプ・登山&源泉掛け流しの温泉に怒涛の出撃。noteはじめました。https://note.mu/mindful_therapy