家族が体調を崩したとき、つい頑張りすぎてしまうあなたへ ―少し楽になる心の整え方
こんにちは。
NPO法人マインドフルネス心理臨床センター(CMAP)事務局の小澤です。
秋から冬にかけては、風邪やインフルエンザなどが流行る季節ですね。
家族の誰かが体調を崩すと、看病や家事、通院などに追われ、気づけば自分の心も体もヘトヘト……なんてことはありませんか。
特に子どもが熱を出したり体調を崩したりすると、突然の予定変更にバタバタ。
仕事を休んだり、職場に連絡したり、周囲への気遣いで気が張ってしまうこともあると思います。
「また迷惑をかけてしまったかな」「仕事がたまってしまう…」と焦る気持ちが出てくるのも自然なことです。
そんなときこそ、マインドフルネスとセルフ・コンパッションが支えになります。
1. まずは、「いまの自分」に気づいてみる
子どものこと、家族のこと、仕事のこと——
次々にやることが浮かんで、つい自分のことを後回しにしてしまいがち。自分の疲れやストレスに気づかないまま走り続けてしまいます。
・ほんの10秒でもいいので、深呼吸してみましょう。
・そして、心の中でつぶやいてみます。
「吸って…吐いて…」
「ああ、私、今ちょっと疲れてるな」
「がんばってるな」
自分の状態をやさしく言葉にしてあげるだけでも、無意識の“がまんモード”から一歩抜け出すことができます。
“自分の気持ちに気づく”ことが、マインドフルネスの第一歩です。
2. 夜中の看病のあと、眠れないときは
夜中に何度も起きて看病して、ようやく落ち着いたのに眠れない。
頭の中では、子どもの心配や明日の仕事のことなど、考えがぐるぐる……。
そんな夜もありますよね。
・そんなときは、“体の感覚に戻る”マインドフルネスを試してみてください。
- 布団の中で、体が触れている部分(背中、足、手のひらなど)を感じてみる
- 「温かい」「重たい」「柔らかい」など、感じられる感覚をそのまま味わう
- 思考が浮かんできたら、「考えてるな」と気づいて、また体の感覚に戻る
「寝なきゃ」と焦るよりも、「ただ休もう」と思うだけで、心と体が少しずつ落ち着いていきます。
3. 自分にもかけてあげたい、やさしいひとこと
「もっと上手にできたらよかったのに」
「私がしっかりしなきゃ」と、自分を責めてしまうこともあるかもしれません。
・そんなときは、心の中で自分にやさしく声をかけてみましょう。
「本当によくやってる」
「こんなときは、誰でも大変だよ」
「ちょっと一息つこう」
セルフ・コンパッションは、自分を甘やかすことではありません。
大変な状況の中で、自分を責めずに支えるための“心のやさしさ”です。
4. 「小さなセルフケア」を日常に
・チョコレートなど甘いものをじっくり味わう
・お風呂にゆっくり浸かる
・朝日を浴びて深呼吸する
・温かいお茶をゆっくり飲む
・洗面所で顔を洗いながら「今ここ」に戻る
日々の中でできる小さなセルフケアを、ほんの数秒でも意識してみましょう。
自分の感覚に戻るその時間が、“心のリセット”になります。
◇チョコレート瞑想 ― 小さなひと口で「今ここ」に戻る
マインドフルネスの実践には、特別な時間や道具は必要ありません。
たとえば、ひとかけらのチョコレートでも、「今この瞬間を味わう」練習ができます。
これが、いわゆる“チョコレート瞑想”です。
日常の小さな楽しみを、ほんの少し丁寧に味わうことで、
頭の中の“やることリスト”から離れ、心と体がゆるむひとときを作ることができます。
チョコレート瞑想のやり方
① 見る
チョコレートを手に取り、色や形、表面のツヤをよく観察します。
「こんな模様があるんだ」「光の当たり方で色が違うな」など、ただ“気づく”だけでOKです。しばらく手に持っていると、少しずつ体温でチョコレートが柔らかくなってくるかもしれません。その「溶けていく感覚」も、ただ気づいて味わってみましょう。
② 香る
鼻を近づけて、香りを感じてみましょう。
「甘い」「少しビター」「懐かしい香り」「ナッツのような香ばしさ」など、どんな香りがするか、ただ感じ取ってみましょう。
③ 味わう
ゆっくり口に入れ、噛まずに舌の上で溶けていくのを感じます。温度や舌ざわり、苦味や甘味の変化 に気づいてみてください。
最近ではカカオの含有量もさまざまですね。ときには少しカカオの濃いチョコレートを選んでみたり、いろいろ試してみるのも、“違いに気づく練習”になります。
④ 感じる
チョコレートが喉を通るときの感覚、そして食べ終わったあとの余韻にも注意を向けます。
「おいしいな」「ほっとするな」と思えたら、その気持ちを味わいましょう。
チョコレート瞑想は、「特別なことをする」ためではなく、「今ここ」に戻るための小さな休息です。
ほんの数分でも、思考のスピードをゆるめ、自分をいたわる時間になります。
忙しい看病の合間や、ようやく一息つけた夜などに、
“チョコレート瞑想”で、自分をやさしくリセットしてみてください。
完璧でなくて大丈夫。
“無理しない優しさ”を、どうぞ自分にも向けてみてくださいね。
おわりに
家族の体調不良は、想像以上にエネルギーを使うものです。
家庭の中だけでなく、仕事や周囲への気遣いも重なって、心がすり減ることもあります。
そんな時こそ、自分の心を支えるマインドフルネスとセルフ・コンパッションを。
どんなに大変な日々でも、「今できることをしている自分」に、やさしく気づいてあげてください。
その一呼吸が、あなたと家族を少しずつ支えてくれるはずです。
どうか、看病の日々の中にも、あなた自身の小さな休息の瞬間が見つかりますように。

臨床心理士・公認心理師。保健福祉センター子育て課、小学校の巡回指導員、学生相談室、精神科・心療内科クリニックなどでの勤務を経て、現在は日々、子育てに奮闘しながらマインドフルネスを実践中。