第三世代の認知行動療法とは? ― 第一世代・第二世代との違いをわかりやすく解説
認知行動療法の変容
認知行動療法(CBT)は、うつ病や不安障害、依存症など幅広い心理的問題に効果がある心理療法として、世界中で活用されています。
その発展は「第一世代」「第二世代」「第三世代」と呼ばれる流れの中で進んできました。ここでは、それぞれの特徴を比較しながら、近年注目されている「第三世代の認知行動療法」とは何かを解説します。
第一世代:行動療法からの出発
1950〜60年代に登場したのが「第一世代=行動療法」です。
人の行動を「学習理論」で説明し、不安や恐怖の克服に「曝露療法」、うつに「行動活性化」などを用いました。
特徴は「観察できる行動」に焦点をあて、科学的に効果を測定できる点です。ただし「思考や感情」といった心の中の働きを十分に扱えない限界がありました。
第二世代:認知療法の統合
1970〜80年代には「第二世代=認知行動療法(CBT)」が広がりました。
アーロン・ベックらが「人の感情や行動は、ものごとの捉え方(認知)によって左右される」と提唱。
うつ病や不安に対し「自動思考の修正」や「認知再構成法」を使い、思考をより現実的でバランスのとれたものに変えることを目指しました。
このアプローチは大きな成果をあげ、うつ病、不安障害、強迫症など多くの疾患に有効性が実証されました。
ただし「ネガティブな思考を変えなければならない」という前提が、再発や慢性的なケースでは限界となることもありました。
第三世代:文脈と受容へのシフト
1990年代以降に登場したのが「第三世代の認知行動療法」です。
キーワードは「受容」「文脈」「マインドフルネス」。
代表的な療法は以下のとおりです。
- アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)
- マインドフルネス認知療法(MBCT)
- 弁証法的行動療法(DBT)
- やめられない!を手放すマインドフルネス(MBRP)
共通するのは「思考や感情を直接変えるのではなく、それらとの付き合い方を変える」という点です。
「嫌な思考や感情を消す」よりも、「それがあっても大事なことに沿って行動する」ことを目指します。
第一〜第三世代の比較
| 世代 | 特徴 | 代表的な技法 | 限界 |
|---|---|---|---|
| 第一世代 | 行動に注目、学習理論に基づく | 曝露療法、行動活性化 | 内面を扱いにくい |
| 第二世代 | 認知を修正、思考を現実的に変える | 認知再構成、自動思考の修正 | 思考修正に偏りやすい |
| 第三世代 | 文脈と受容、マインドフルネスを重視 | ACT、MBCT、DBT、MBRP | 技法が複雑、普及に時間 |
なぜ第三世代が注目されるのか
第二世代までのCBTは大きな成果をあげましたが、再発予防や慢性的な問題には限界がありました。
そこで「ネガティブな思考をなくすのではなく、それを受け入れながらどう生きるか」を支援する第三世代が必要とされたのです。
とくにマインドフルネスの実践は、再発予防や依存症治療などにおいて効果が示され、心理療法の新しい流れをつくっています。
まとめ
第一世代は「行動」、第二世代は「認知」、第三世代は「文脈と受容」に焦点を当てる。
第三世代CBTは、単なる症状改善を超えて「価値に沿った生き方」を支えることを目指す。
現在の臨床では、第一〜第三世代を柔軟に組み合わせる実践が行われている。
第三世代の認知行動療法は、現代社会の複雑なストレスや慢性疾患に対応するために不可欠なアプローチであり、今後もますます重要性が高まっていくでしょう。
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