心理職・医療職がMBRP(マインドフルネスに基づく再発予防)を学ぶべき5つの理由

―「やめたいのやめられない」への臨床の質を高め、支援の幅を広げるマインドフルネス実践―

近年、マインドフルネスは医療や心理支援の現場でも広く活用されるようになってきました。今回は、心理職や医療職がMBRP(Mindfulness-Based Relapse Prevention:マインドフルネスに基づく再発予防)を学ぶ5つの意義についてご紹介します。

①臨床判断の質を高める「余白」が生まれる

医療関係者の方がマインドフルネスを実践する意義は、単なるストレス対処にとどまりません。臨床の質そのものに関わる重要な要素であり、患者さんとの関係性、意思決定、そして自身の持続可能な働き方に直接的な影響を与えます。

医療現場では「迅速な判断」と同時に、「反応しすぎないこと」が求められます。マインドフルネスの実践は、刺激と反応のあいだにわずかな余白をつくり、その場に応じた適切な判断を可能にします。

たとえば、患者さんの強い不安や怒りに直面したとき、無意識に防衛的になったり、過剰に巻き込まれたりすることがありますが、マインドフルネスを実践していると、その「自分の反応」に気づく力が高まります。

その結果、相手の言葉に振り回されるのではなく、臨床的に意味のある応答を選択しやすくなります。これは一瞬の判断なのですが、臨床的には極めて意義深いです。

②バーンアウトを防ぎ、関わり続ける力を育てる

医療関係者の方の慢性的な疲労やバーンアウトへの予防としても、マインドフルネスは有効です。医療従事者は共感的に関わることが求められる一方で、共感疲労に陥りやすい職種でもあります。マインドフルネスは「共感」と「巻き込まれ」の違いを体験的に理解する助けとなり、セルフ・コンパッションと組み合わせることで、自分自身への適切なケアを可能にします。結果として、無理なく関わり続ける力を養うことにつながります。

また、マインドフルネスは注意機能や実行機能の改善にも寄与することが知られており、多忙な外来や病棟業務のなかで、複数の情報を扱いながら判断する場面において、集中力や認知的柔軟性を高めることは、医療安全の観点からも重要です。

③MBRP医療現場において非常に汎用性の高いアプローチ

こうしたマインドフルネスの実践を、より臨床に応用可能な形で体系化したものがMBRP(Mindfulness-Based Relapse Prevention)です。もともとは依存症再発予防のために開発されたプログラムですが、「やめたいのにやめられない」という行動全般に適用可能であり、現代の医療現場において非常に汎用性の高いアプローチです。

依存症に限らず、過食、スマートフォン使用、衝動的行動など、多様な問題行動に対して活用できる点は、現場での実用性の高さを示しています。

④講師養成講座で身につく臨床現場で「提供できるスキル」

当センターで9月から開講するMBRP講師養成講座で得られる大きな価値は、この実践を単なる知識としてではなく、「提供できる形」で習得できる点にあります。8週間のプログラム構造、各セッションの進め方、参加者への関わり方、グループファシリテーションの技術など、臨床現場でそのまま活用できるスキルを体系的に学ぶことができます。単発の技法習得ではなく、プログラムとして介入できる力が身につくことは、支援の幅を広げるうえで重要です。

医療機関においては、デイケアやリワークプログラムにMBRPを導入することで、新たな介入の選択肢を持つことができます。グループ形式で実施できるため、限られたリソースの中でも効率的な支援が可能になります。実際講師養成講座の卒業生の方が病院でMBRPをデイケアに取り入れて、学会発表なども行っています。

さらに、個別対応である診察場面やカウンセリングにおいても、MBRPの視点は有効です。衝動に対する気づきやトリガーの理解、身体感覚への注意の向け方などは、短時間の診察・面接の中でも活用でき、患者さん自身のセルフマネジメントを支えることにつながります。

「やめましょう」と一方的に指導するのではなく、「どのようにその行動が起きているのか」「衝動をどう乗り越えるのか?」を共に観察し扱う姿勢は、治療同盟の質を高め、患者さんの症状改善に役立ちます。

⑤臨床の見立てと関わり方を更新する

MBRPを学ぶことは、単に技法を増やすことではなく、「臨床の見立て」と「関わり方」を更新することに近いともいえます。

患者さんの行動を意志の問題として捉えるのではなく、条件づけられた反応として理解し、そのプロセスに介入していく。この視点の転換は、医療者自身の負担を軽減し、より効果的で持続可能な支援を可能にします。

医療現場におけるマインドフルネスの実践とMBRPの導入は、個人のセルフケアにとどまらず、チームや組織全体の質を高める可能性を持っています。日々の臨床に追われるなかでも、「どのように関わるか」を問い直すための実践として、非常に意義のある選択肢といえるでしょう。

最後に:MBRP講師養成講座開催のお知らせ

当センターではMBRP講師養成講座を2026年9月スタート(説明会動画視聴チケットは無料です)します。年に1度の開催となりますので、気になる方はぜひご確認ください。


■講師:小林亜希子 NPO法人マインドフルネス心理臨床センター代表 公認心理師・臨床心理士・MSC講師・MBRP講師・MSC講師・MBSR講師
■対象:メンタルヘルスの分野で資格を持つ臨床家・研修中の臨床家・介入を直接行うつもりはないが、専門的関心をもっていえる専門家(研究者、管理者など)
■費用:無料

詳細はこちらからご確認ください。

https://mbrptt202603.peatix.com/view